大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)666号 判決

論旨は本件につき食糧確保臨時措置法の適用があることを前提として、被告人は昭和二十四年二月二十七日まで神奈川県小田原市に居住し、同月二十八日同県足柄下郡相和村に転入した者であるから昭和二十三米穀年度分は同法の規定に基き小田原市において供出割当等を受くべく、相和村においては主要食糧供出の義務がなく、したがつて同村農業調整委員会で供出量や保有量を決定したのは違法であり、その議決は無効であつて、本件不正受配の事実もまたあり得ないとし、原判決には審理不尽法令の解釈適用を誤つた違法があると主張するものである。

よつて按ずるに、食糧確保臨時措置法は昭和二十三年七月二十日法律第百八十二号として公布、即日施行せられたものであるが同法所定の農業計画に関する諸規定は同法施行令(同年八月二十日政令第二百四十七号)に基き市町村農業調整委員会が成立するまでは実際上適用し得ないものであり、右農業調整委員会の委員の最初の選挙の期日は同令附則第三項により、同令第三条の規定にかかわらず農林大臣が内閣総理大臣と協議してこれを定むべきものとせられ、同年十月五日農林省告示第二百七号によつて同年十一月三十日と定められて委員の選挙が行われたのであるから右選挙の結果実際に市町村農業調整委員会が成立したのはその後のことに属し、昭和二十三米穀年度分については食糧確保臨時措置法はその適用の余地がないものというべく、この点については当審証人鳥居清治の供述に徴するも、同法は昭和二十三米穀年度には適用されず、昭和二十四米穀年度分即ち昭和二十四年産米麦について始めて適用されたことが認められるのである。したがつて昭和二十三米穀年度分については食糧管理法並びに同法施行規則の規定するところに従つて農業計画がなされたのであつて、同年産米麦の供出割当、保有量の決定についても食糧確保臨時措置法所定のごとき属人主義によらねばならぬとする法的根拠は存しないのである。されば食糧確保臨時措置法が昭和二十三米穀年度にも適用があることを前提とし、主要食糧供出義務の属人主義を主張し、ひいて本件不正受配を否定する所論は到底採用し難く、原判決には所論のごとき審理不尽若しくは法令の解釈適用を誤つた違法は存しないから論旨は理由がない。

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